Vol.6 なかなか難しいこと

フランスの哲学者V.ジャンケレビッジは、
『一人称(私)の死』は体験できないために、これを語ることは不可能であり、
『二人称(もっとも身近な人)の死』と『三人称(他人)の死』の体験から、
間接的に『一人称の死』を考察するしかない、と言っています。

確かに……。
『死』ということを想像すると、「体験していないので語れない」
ということは、納得しやすい。

それと同様に、自分ではない『二人称』『三人称』の体験は、
自分が「体験していないこと・できないこと」と、
認識する必要がありそうです。

すぐに自分の体験と重ね合わせてしまうことは、
相手を理解したことではない、と。
自分以外の人の体験と、自分の体験は、別のもの。
重ね合わせるのではなく、思いを馳せることが大事。

自分と自分以外の人間を、きちんと区別し、尊重すること。
馳せる(はせる)とは、『(気持などを)遠くまで至らせる』こと。
「思いを馳せる」ためには、自分と離れた存在であることを、
きちんと認識しなくてはならないのですね。
――― なかなか難しいです。